ファーは、古代から防寒用として使われていました。動物の毛皮には、権力の象徴としての意味もあり、貴族や王族などが活用していたとされています。現在では、カジュアルなファッションにも取り入れられています。
この記事では、ファーの概要や種類、メリット・デメリットなどを解説します。リアルファーとフェイクファーの違いも解説するので、ぜひ参考にしてください。
ファーとは
ファーとは、毛皮のことです。本物の動物の毛皮に、なめし加工をしてできた素材を指します。動物の種類によって、多種多様な毛の質があり、それぞれの特徴が異なります。
動物の毛皮は、個体によって色の風味や毛の長さ、生え方なども異なるため、全く同じものは存在しません。刺毛という部分に、毛皮の模様や色彩などの個性が現れます。
ファーの歴史
ファーの歴史は古く、原始時代まで遡ります。狩猟動物の毛皮は、主に防寒着として使われてきました。古代エジプトやローマ時代では、権力の象徴としても扱われたとされています。中世において、毛皮は貴族や王族のシンボルでした。
ファーがファッションで活用されるのは、19世紀の中頃です。20世紀前半までの経済発展に伴い、毛皮動物の養殖も始まりました。
【日本】ファーの歴史
西暦730年頃、中国から日本に毛皮が伝わった記録があります。当時、毛皮には防寒着としての需要がありませんでした。食肉の文化もなかったため、毛皮を使う習慣が定着しなかったようです。
ファーは、主に地位や身分のステータスとして活用されていました。昭和45年以降、コートに毛皮が使われることが増え、一般人も多く着用するようになりました。
フェイクファーとは
フェイクファーとは、本物の毛皮に似た素材です。別名「合成ファー」と呼ばれており、本物の動物の毛皮であるリアルファーと似た品質をもちます。見た目と感触も、本物の動物の毛皮に似せてある点が特徴です。
フェイクファーは、リアルファーの代替品として、エコや動物に危害を加えない倫理観の観点などから注目を集めています。
リアルファーとフェイクファーの見分け方
リアルファーとフェイクファーは、毛の特徴で見分けられます。リアルファーは、ファーを引っ張るとスムーズにすべります。フェイクファーの場合は、リアルファーと違い刺し毛がないため、引っ張ってもすべりにくい点が特徴です。
また、刺し毛に似せたつくりになっており、毛の先端が切れたようになっている点で見分けられるでしょう。
ファーとボアの違い
ファーとボアの違いは、毛足にあります。ファーの毛足は、ストレートな点が特徴です。ボアの毛足は、カールしている点でファーと異なります。ボアは厚手でもこもこしているため、生地の違いで見分けられるでしょう。
フェイクファーとエコファーの違い
フェイクファーとエコファーは同じものを指すため、それぞれに違いはありません。近年、フェイクファーからエコファーに呼び方が変わってきています。
フェイクは偽物という意味があるため、ネガティブな印象があります。エコファーは、環境や動物などの保護するものとして、ポジティブな象徴になるための言い方です。
リアルファーに使われている素材
リアルファーは、本物の動物の毛皮が使われている天然素材です。フォーマルなファッションアイテムだけでなく、カジュアルなアイテムにも使われています。
リアルファーには、以下のような素材があります。
- ラビット
- ムートン
- ミンク
- セーブル
- チンチラ
- リンクス
- フォックス
- ラクーン
定番のファーは、ラビット・ムートン・ミンクです。コートやブーツ、ティペットなど、多くのファッションアイテムで使われています。
セーブル・チンチラ・リンクスは、世界三大毛皮と呼ばれています。それぞれ毛皮の品質が良く、高級なファーの素材として有名です。
リアルファーのメリット・デメリット
リアルファーには、毛皮の暖かさがありますが、虫やカビなどに注意が必要です。ここでは、メリットとデメリットを解説します。
リアルファーのメリット
リアルファーのメリットは、素材の暖かさです。先述した刺し毛と綿毛という短い毛が空気の層をつくり、防寒の効果を生みます。体温の発散を防げるため、寒い日に暖かさを感じられます。
また、綿毛には体温調整ができる役割があるため、通気性に優れている点も特徴です。温暖な日には、風通しのよさを感じられるでしょう。
リアルファーのデメリット
リアルファーのデメリットは、虫害やカビなどが発生する点です。湿気の多い場所を避けて、通気性のよいところで保管する必要があります。動物の毛皮は素材が傷みやすいため、摩擦にも注意が必要です。
リアルファーは、動物愛護の観点から、社会問題として扱われています。多くの有名ブランドで、販売や製造などを制限する動きがあります。
フェイクファーに使われている素材
フェイクファーに使われている素材は、アクリルやポリエステルなどの化学繊維です。パイル織やパイル編の毛先をカットし、起毛させることで、本物の毛皮のような表情や風合いを出せます。
パイル糸を長いものと、短いものに分けると、刺し毛と綿毛の感触を再現できます。プリントの配色や染め色などを工夫すると、動物の毛皮に似せたものを作ることも可能です。
フェイクファーのメリット・デメリット
フェイクファーは、本物の毛皮に比べて素材が丈夫な点が特徴です。ここでは、メリット・デメリットを解説します。
フェイクファーのメリット
フェイクファーは、素材が丈夫なうえに、手入れもしやすい点がメリットです。リアルファーと違い、汚れても手洗いができます。毛が短いものであれば、洗濯機を使っても問題ありません。
フェイクファーは、安価に購入できる点も魅力です。若い人であっても、ファーをファッションに取り入れられるでしょう。
フェイクファーのデメリット
フェイクファーのデメリットは、手触りが硬めなことです。リアルファーに比べると、着心地や高級感で劣ると感じる場合もあるでしょう。
また、フェイクファーは、石油由来の化学繊維を使っており、自然環境に還らない素材でもあります。昨今、環境に悪影響を与える点が問題視されており、議論が続いています。
ファーのお手入れのポイント
ファーは、毛の特徴に配慮してお手入れをする必要があります。ここでは、お手入れのポイントを解説します。
リアルファーのお手入れのポイント
リアルファーのお手入れは、基本的にクリーニング店に依頼しましょう。動物の毛皮はデリケートな素材のため、自宅で洗うのは避けてください。水洗いをする洗濯機で、リアルファーは洗えません。
パウダークリーニングという、特殊な方法でクリーニングをする必要があります。リアルファーに洗濯表示がついていない場合は、クリーニング専門店にお手入れを任せましょう。
フェイクファーのお手入れのポイント
フェイクファーのお手入れのポイントは、洗濯機のデリケートコースで洗うことです。おしゃれ着用洗剤を入れて、手洗い・洗濯機モードで洗います。
洗濯の回数が多い場合は、毛が擦り切れる可能性があるため、取り外しできるものを選ぶとよいでしょう。ファーのアイテムを長く使うには、お手入れを考慮して購入することが大事です。
ファーを保管する際のポイント
リアルファーは、ビニール袋から出して、通気性のよい場所で保管しましょう。温度や湿度が高い場所は、カビが発生したり、素材を劣化させたりします。
フェイクファーは、日光や蛍光灯などを避けて、紫外線から守る必要があります。リアルファーと同じように変色したり、退色したりする可能性があるため、保管する際は注意しましょう。
まとめ
ファーには、本物の動物の毛皮を使ったリアルファーと、本物に似せた素材のフェイクファーがあります。かつては防寒の役割で使われていましたが、現在はファッションに多く取り入れられています。ファーは、フォーマルなファッションだけでなく、カジュアルなファッションのどちらにもおすすめです。
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