ファーとボアは、どちらも暖かくて、軽い素材です。しかし、毛の特徴に違いがあり、使用される衣類が異なります。
この記事では、ファーとボアの違いや、それぞれのメリット・デメリットを解説します。お手入れのポイントや保管のポイントなども解説しているので、ぜひ参考にしてください。
ファーとは
ファーとは、毛皮のことです。ラビットやフォックスなど、本物の動物の毛皮を指します。ファーは洋服の首元や袖口だけでなく、インテリアにも用いられています。
本来の意味は、天然毛皮(リアルファー)です。一般的に、「ファー」と呼ばれるものには、合成繊維のフェイクファーが含まれています。
ボアとは
ボアとは、動物の毛皮に似た素材のことです。語源はラテン語にあり、ストールを巻く際に「大蛇」にみえることで名付けられたとされています。
パイル糸の生地をカットして立たせることで、モコモコとしたボリュームを出している点が特徴です。コートやジャケットなどの裏地だけでなく、靴にも使用されています。
ファーとボアの違い
ファーとボアは、毛に違いがあります。ファーの毛はストレートになっており、ボレロやコートの襟などに使用されます。ボアの毛は、カールしている点が特徴です。
一般的には、ベンチコートのインナーやぬいぐるみなどに使用されています。ボアは、帽子や服にボリュームをもたせたい場合にも適しています。
ボアとフリースの違い
ボアとフリースは、素材の暖かさに違いがあります。ボアはフリースよりも毛足が長い点が特徴で、より暖かさを感じられます。
ボアに使用される素材は、ポリエステルやアクリルなどです。フリースも、暖かさという点ではボアと同じです。素材には、ポリエステルが100%使用されています。
ファーの種類
リアルファーとフェイクファーは、素材の特徴が異なります。ここでは、それぞれのメリット・デメリットを解説します。
リアルファー
リアルファーとは、本物の動物の毛皮を使用した素材です。外敵から身を守るための「刺し毛(さしげ)」と、温度調節をする「綿毛(わたげ)」をもつ点が特徴です。
動物の種類によって、毛皮の肌触りや色味が異なります。使用されている素材には、ラビットやラクーン、フォックスなど、さまざまな種類があります。
リアルファーのメリット
動物の毛皮であるリアルファーは、暖かく柔らかい感触が特徴です。毛皮が空気の層をつくるため、冬の寒い日でも暖かく感じられるでしょう。
また、通気性も確保されており、体温の調節もしやすくなります。毛皮は肌触りがよく、美しい光沢もあるため、ファッションアイテムとしても重要です。
リアルファーのデメリット
動物の毛皮は、素材が傷みやすい点がデメリットです。直射日光や紫外線などにあたると、変色や退色するため注意しましょう。
動物の毛皮を素材に使用していることは、動物愛護の観点から社会問題として扱われています。グッチやルイ・ヴィトンなどのブランドは、動物由来の毛皮の使用を制限しています。
フェイクファー
フェイクファーは、本物の動物に似せた素材です。素材はパイル織やパイル編みで構成されており、本物の毛皮の毛並みに似せています。
フェイクファーは、耐久性があり、かんたんに手入れができる点もメリットです。色や柄などの幅も広く、独自の表現をもった商品も多くあります。
フェイクファーのメリット
フェイクファーのメリットは、素地が丈夫なことです。アクリルやアクリル系などの素材でできており、汚れても手入れをしやすくなります。
リアルファーと違い、動物の毛皮を使用していないため、素材が安価な点も魅力です。本物の毛皮に見えるアイテムを、気軽にファッションに取り入れられるでしょう。
フェイクファーのデメリット
フェイクファーは、手触りが硬めな点がデメリットです。リアルファーと比べると、着心地が劣る傾向にあります。水分や熱、日光などにも弱い素材なため、退色や劣化する可能性に注意しましょう。
フェイクファーは、石油由来のプラスチックの化学繊維を使用しているため、環境に悪影響を与える点も懸念されています。
ボアの素材
ボアの素材は表と裏で異なります。表の基布の部分には、ポリエステルやコットンなどが多く使用されています。基布とは、毛足を編み込む土台となるものです。
ウールや獣毛などを混ぜることで、本物の毛皮に近い風合いを出すことも可能です。裏側のもこもこする部分には、保温性や伸縮性があるアクリル素材が使用されています。
ボアの種類
ボアは、羊の毛に近い「シープボア」や、プードルの毛並みのような「プードルボア」などが有名です。他には「シャギーボア」や「ソフトボア」などの種類もあります。
長い毛足のものは、ふわふわとしたやわらかさが特徴です。短い毛足の素材のものは、キレイめでカジュアルな印象を与えられます。
ボアのメリット
ボアの素材を使用するメリットは、保温性の高さです。体から発する空気を、毛皮の空気の層で留められます。暖かい空気を閉じ込めることで、体温を一定に保ちやすくなるでしょう。
見た目にボリューム感がありますが、重量が少ない点も魅力です。肌触りもよいため、快適に着られるでしょう。
ボアのデメリット
ボアのデメリットは、ゴミや汚れを吸着しやすい点です。静電気が起きやすいため、多くの毛玉がつきます。静電気の対策には、洗濯する際に中性洗剤と柔軟剤を入れてください。
アクリル素材は熱に弱いため、乾燥機を使用できません。熱だけでなく、乾燥機の回転が、素材の繊維を傷める原因にもなります。
ファーのお手入れのポイント
リアルファーとフェイクファーは、お手入れの方法が異なります。ここでは、それぞれのポイントを解説します。
リアルファーのお手入れのポイント
リアルファーは、洗う前に風通しをしましょう。湿気を取った後は、30℃程度のぬるま湯におしゃれ着用の中性洗剤を入れて汚れを落とします。
しっかりと洗った後は、風通しのいい場所で陰干しをしてください。日々のお手入れは、毛並みに沿ってブラッシングをし、ホコリを取れば十分です。
フェイクファーのお手入れのポイント
フェイクファーは、軽くすすいで押し洗いをします。柔軟剤を溶かしたぬるま湯に入れ、軽く水を切ります。タオルで軽く水気をふき取ったら、ドライヤーを冷風にして乾かしましょう。
毛足をお手入れする際は、ブラシで毛並みをやさしく整える必要があります。目が粗いくしや、毛並み整え用のブラシを使用し、やさしくブラッシングをしてください。
ボアのお手入れのポイント
ボアを洗濯する際は、洗濯ネットに入れましょう。生地の縮みや毛玉ができるのを防止するためです。おしゃれ着洗いや弱水流などの洗濯コースで、やさしく洗ってお手入れすることがポイントです。
ボアを洗えない場合は、クリーニング店を利用してお手入れをしましょう。1〜2週間に1回程度のケアをして、生地の型崩れを防止する必要があります。
ファーとボアを保管するポイント
ファーとボアは、どちらも湿気を取って保管する必要があります。それぞれ通気性のよい場所で保管し、定期的に風にあてましょう。
リアルファーは、虫やカビなどに注意が必要です。ハンガーに掛け、不織布で覆うとよいでしょう。それぞれ他のものと重ならないように保管し、型崩れを防止することも大事です。
まとめ
ファーとボアは、毛の特徴に違いがあります。ストレートの毛がファーで、カールしているのがボアです。どちらも軽い素材で、暖かさを感じられる点は共通しています。
ただし、それぞれ使用される衣類が異なります。素材を選ぶ際は、メリットやデメリットを考慮して使い分けることが大事です。
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